会議の席で、AさんとBさんの間で意見が真っ向から対立した。途端に、会議室の空気が凍りつき、周りのメンバーは下を向いて黙り込んでしまう。上司であるあなたは、その場の空気を収めるために、慌てて議論を打ち切ってしまった…。 こんな光景は、あなたの会社でも起きていないでしょうか。私たちは、無意識のうちに「意見の対立=悪いこと」と捉え、それを避けようとしてしまいます。しかし、その“配慮”こそが、組織から“多様性”と“革新(イノベーション)”の芽を摘み取ってしまっているのかもしれません。
「仲良し組織」と「強い組織」の決定的な違い
まず、二つの組織の姿を比較してみましょう。
- 仲良し組織: 常に和やかな空気が流れている。誰も反対意見を言わない。波風が立つことを何よりも恐れる。一見、理想的に見えますが、これは思考停止した「ぬるま湯」の状態です。新しいアイデアは生まれず、環境の変化に対応できずにゆっくりと衰退していきます。
- 強い組織: 常に活発な議論が交わされている。役職や年齢に関係なく、誰もが自分の意見を堂々と主張する。時には厳しい意見がぶつかり合うこともある。しかし、その衝突は、常により良い答えを見つけるための、前向きな“知的格闘技”です。
あなたの会社が目指すべきは、明らかに後者の「強い組織」のはずです。
DIANTのビジョンに学ぶ「さんかく広げてえんになる」という思想
では、どうすれば、対立を前向きな力に変えられるのでしょうか。そのヒントが、私たちFSPのパートナーである、株式会社DIANTのビジョン「さんかく広げてえんになる」に隠されています。 これは、「個々の、尖った、多様な価値観(さんかく)を尊重し、それらを、対話と協力によってすり合わせることで、より大きく、強い、一つの円(えん・縁)を創り上げていこう」という思想です。 コンフリクト・マネジメントの目的は、どちらかの「さんかく(意見)」が勝つことではありません。二つの「さんかく」がぶつかり合うそのエネルギーを活用して、誰も想像しなかった、新しい、そしてより完璧な「えん(第三の答え)」を生み出すことなのです。
“対立”を、チームの“力”に変える、3つのステップ
経営者やリーダーは、この「さんかく」から「えん」を生み出すための“触媒”としての役割を果たさなくてはなりません。
STEP 1:まず、「人格」と「意見」を切り離す
対立が起きた瞬間に、リーダーはこう宣言します。「これは、AさんとBさんの喧嘩ではありません。Aさんの“意見”と、Bさんの“意見”の素晴らしい議論です。どちらの意見も、会社を良くしたいという、同じ想いから生まれています」と。 人格攻撃を絶対に許さず、議論をあくまでアイデア同士のぶつかり合いに限定すること。これが、心理的安全性を守るための絶対的なルールです。
STEP 2:「なぜ、そう思うのか?」― 対立の“背景”にある、想いを深掘りする
次に、リーダーは裁判官のように、どちらが正しいかを裁いてはいけません。カウンセラーのように、双方の意見の“背景”にある、価値観や想いを深掘りしていくのです。 「Aさんは、なぜそのアイデアが一番良いと思うのですか?」 「Bさんは、Aさんのアイデアのどんな点に一番懸念を感じていますか?」 この丁寧なヒアリングを通じて、対立している表面的な「意見」の奥底にある、実は共通しているかもしれない「願い」を探り当てます。
STEP 3:「両方の“良いとこ取り”はできないか?」― 新しい“第三の道”を探す
最後に、リーダーはチーム全体にこう問いかけます。「Aさんの意見のこの素晴らしい部分と、Bさんの意見のこの慎重な視点。この両方を満たすような、もっと良い“第三の道”はないだろうか?」 この問いが、チームの思考を「勝ち負け」から「共創」へと切り替え、イノベーションの扉を開くのです。
まとめ
意見の対立は、恐れるべき厄介事ではありません。それは、あなたの組織が多様な才能を抱えている何よりの“証拠”であり、より良い未来を生み出すための貴重な“エネルギー源”なのです。
そのエネルギーを、人間関係の破壊に使うのか。 それとも、新しい価値の創造に使うのか。
その全ては、リーダーである、あなたの、コンフリクト・マネジメントの舵取りにかかっています。
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