【人材育成】「自分でやった方が早い病」が、組織を“弱く”する。部下の成長を加速させる、勇気ある「権限移譲」の技術

部下が慣れない仕事に手こずっている。それを見て、あなたは思わずこう口にしてはいないでしょうか。
「あー、もういい!貸してみろ。俺がやった方が早いから」
その、一見すると親切で効率的な判断。しかし、その一言こそが、部下の“成長の機会”を奪い、あなた自身を無限のプレイングマネージャー地獄に縛り付ける「自分でやった方が早い病」という深刻な病の初期症状です。
多くの経営者が、この手の「現場の効率」を最優先してしまい、結果的に社員の育成が進まず、孤軍奮闘する『戦略的孤独』に陥ってしまいます。
この記事では、その病の危険性と、部下を、そしてあなた自身をも成長させる、勇気ある「権限移譲」の技術について解説します。

なぜ、私たちは「自分でやった方が早い」の“罠”に、ハマってしまうのか?

この“病”の根は、非常に根深い。なぜなら、上司の優しさと責任感から生まれるからです。

  • 短期的な効率の追求: 「この仕事を今日中に終わらせなければ」という、目の前の効率を優先してしまう。
  • 失敗への恐怖: 「部下に任せて失敗されたら、結局、自分が尻拭いすることになる…」というリスクを恐れてしまう。
  • 教えることへの苦手意識: 「やり方を一から説明する時間があったら、自分でやった方が早い」と感じてしまう。

これらの思考は、確かに、その場、その瞬間の「タスクの完了」は早めるかもしれません。しかし、その代償として、組織の最も重要な資産である「人の成長」という、長期的なリターンを捨てているのです。

「丸投げ」と「権限移譲」の、決定的な違い

ここで、「任せる」という行為について、正しく理解する必要があります。

  • ダメな任せ方=「丸投げ」:目的もゴールも曖昧なまま、「これ、やっといて」と仕事をただ放り投げること。これは育成ではなく、ただの「責任放棄」です。
  • 良い任せ方=「権限移譲」: 明確な「ゴール」と、それを達成するために必要な「権限(=自由に意思決定して良い範囲)」をセットで与えること。そして、そのプロセスを上司がコーチとして見守り、支援すること。これこそが部下を育てる「戦略的投資」です。

部下を“覚醒”させる、正しい「権限移譲」の4ステップ

では、具体的にどうすれば正しい「権限移譲」ができるのでしょうか。

STEP 1:「なぜ」と「ゴール」を、明確に共有する
まず、「この仕事は、こういう背景(なぜ)があって、最終的に、こういう状態(ゴール)になっていれば、君の成功だ」という、仕事の“地図”を、渡します。行き先も分からずに、航海に出ろ、というのは、あまりにも、無責任です。
STEP 2:「やり方」は、本人に考えさせる
次に、最も重要で、最も上司が我慢を強いられるステップです。ゴールまでの「行き方(やり方)」は、部下本人に考えさせましょう。たとえ、そのやり方が遠回りに見えても、あなたは口出しせずに見守ります。人は、自分で考え、工夫して、初めて仕事を「自分ごと化」できるのです。
STEP 3:「失敗する権利」と、「相談できる安心感」を与える
そして、こう伝えるのです。「この航海では、必ず嵐が来る。だから、失敗を恐れるな。そして、もし羅針盤が壊れて道に迷ったら、いつでも、相談という名の“港”に帰ってこい。一緒に作戦を立て直そう」と。この心理的な安全性が、部下の挑戦する勇気を育みます。
STEP 4:結果を、共に“振り返る”
航海(仕事)が終わったら、その結果が成功であれ、失敗であれ、必ず二人で「振り返り」の時間を取ります。「何がうまくいった?」「どこで苦労した?」「この経験から何を学んだ?」と。この経験を学習へと変える「対話」が、部下の次なる成長への羅針盤となるのです。

まとめ

「自分でやった方が早い」という、短期的な効率の“誘惑”。その誘惑に打ち克つ「任せる勇気」こそが、リーダーシップの本質です。
あなたが今日、部下に仕事を任せるために、余分に使う「1時間」。その1時間は、1年後、その部下が成長し、自律的に動いてくれることで、あなたの元に「10時間」という自由な時間になって返ってくるかもしれません。
権限移譲とは、部下のためだけのものではありません。それは、あなた自身の未来の時間を創り出すための、最も賢明な「時間投資」なのです。

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