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採択される事業計画書の書き方:審査官は「物語の一貫性」を見ている

補助金申請のために、事業計画書を作成していると、つい「性能の高さ」「機能の多さ」「見込みの売上数字」といった、個別の事実や数値を並べることに終始してしまいがちです。

しかし、多くの申請書を審査してきた専門家は、口を揃えてこう言います。
「私たちが本当に見ているのは、その事業計画に、一本筋の通った『物語』があるかどうかだ」と。

なぜ、ロジックや数字だけでなく、「物語」が重要なのでしょうか。
それは、補助金が、企業の「未来」に対する公的な投資だからです。審査官は、その未来を信じるに足る、説得力のある物語を求めています。
この記事では、審査官の心を動かし、採択を勝ち取るための「物語」の描き方を解説します。

なぜ「物語」が重要なのか?― 審査官が本当に知りたいこと

審査官は、毎日何十通という事業計画書に目を通します。
そこには、最新設備のスペックや、立派な売上目標の数字が並んでいます。
しかし、それだけでは、他の申請書との違いは生まれません。
彼らが本当に知りたいのは、数字の裏側にある、血の通ったストーリーです。

  • 「なぜ、あなたは、この事業をやるのか?」
  • 「なぜ、今、この投資が必要なのか?」
  • 「その投資で、会社と顧客、そして社会はどう変わるのか?」

これらの問いに対する、経営者自身の言葉で語られた、一貫性のある物語こそが、審査官に「この会社になら、未来を託せる」と確信させるのです。
私たちFSPの支援プロセスは、まさにこの「説得力のある物語」を体系的に構築することに主眼を置いています。

採択される物語の「基本構造」― 5つの糸で紡ぐ一貫性

では、説得力のある物語とは、具体的にどのような構造なのでしょうか。
それは、株式会社DIANTが提唱する「5つの糸」の考え方で整理できます。

【起】想い(WHY):物語の「動機」は何か?

全ての物語は、「想いの糸(MI)」から始まります。なぜ、あなたの会社はこの事業を営んでいるのか。今回の挑戦を通じて、どんな社会課題を解決し、どんな未来を実現したいのか。この「動機」が、物語全体の背骨となります。

【承】現状と課題(WHAT):なぜ今、「変化」が必要なのか?

次に、物語の「背景」を説明します。市場の変化、競合の出現、技術の陳腐化、人手不足…。自社が今、どんな「課題」に直面しているのかを具体的に示し、「だからこそ、今、変わらなければならない」という切実な理由を提示します。

【転】解決策(HOW):どうやって課題を乗り越えるのか?

物語のクライマックスです。ここで、補助金を活用した「新しい投資」が登場します。
その新しい設備やシステムが、【承】で提示した課題を、具体的にどう解決するのかを、論理的に説明します。
これは、企業の「届け方の糸(DI)」や「行動の糸(BI)」の変革に繋がります。

【結】未来(WHERE):事業は、どこへ向かうのか?

そして、物語の結末です。投資の結果、会社の売上や利益はどう向上するのか。従業員の給与は上がるのか。顧客や社会に、どんな新しい価値を提供できるようになるのか。
明るい未来像を描き、「この投資は、必ず成功する」という確信を審査官に与えます。

「物語の破綻」を招く、よくあるNGパターン

逆に、審査官に「この物語は、どこかおかしい」と感じさせてしまう、よくあるNGパターンも存在します。

  • 動機と行動の不一致
    「地域貢献が理念です」と語りながら、計画の内容が、地域の雇用や取引を無視した海外からの設備導入だけ、といったケース。物語の「動機」と「行動」に一貫性がありません。
  • ご都合主義な展開
    「最新機械を導入すれば、理由は分からないが、売上が3倍になります」といった、根拠のない計画。課題と解決策の間に、論理的な繋がりがありません。これは、補助金採択後に「販売不振」に陥る典型例です。
  • 登場人物の不在
    事業計画に、経営者である「あなた」の想いや、製品・サービスを心待ちにしている「顧客」の顔が見えない。無味乾燥な数字の羅列では、人の心は動きません。

まとめ

事業計画書とは、審査官に「私たちの会社の未来に、一緒に投資してください」と語りかける、一通のラブレターのようなものです。
そこに必要なのは、無味乾燥なファクトの羅列ではありません。
経営者自身の熱い「想い」を核とした、過去から未来へと繋がる、一貫性のある「物語」です。

なぜ挑戦し、どう乗り越え、どんな未来を創るのか。 その物語を、審査官が「自分ごと」として応援したいと思えるかどうか。採択の可否は、まさにその一点にかかっているのです。

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