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【人材育成】ジョブローテーションは“劇薬”である。組織を強くする導入法と、弱くする導入法の違い

「うちの会社も、そろそろジョブローテーションを導入すべきだろうか…」
組織の「属人化」や「サイロ化」に課題を感じる経営者様が、一度は頭に思い浮かべるこの打ち手。
確かに、うまく機能すれば、ジョブローテーションは組織を活性化させ、未来のリーダーを育てる素晴らしい制度となり得ます。しかし、その一方で、安易に導入すれば、専門性を奪い、社員のモチベーションを下げ、組織をかえって弱くしてしまう“劇薬”にもなり得るのです。もし、専門性の低下から事業の競争力が失われれば、それは『パーフェクト・ストーム』の一因となりかねません。
この記事では、ジョブローテーションという“劇薬”を、あなたの会社にとっての“良薬”とするための、正しい処方箋について解説します。

なぜ、あなたの会社は「ジョブローテーション」を検討するのか?

まず、最も重要なことは、「何のためにジョブローテーションを行うのか?」という、その“目的”を明確にすることです。目的が曖昧なままでは、制度は必ず形骸化します。
目的の例

  • 未来の経営幹部候補(ゼネラリスト)を育成したい。
  • 業務の属人化を防ぎ、組織としてのリスク対応能力を高めたい。
  • 部門間の壁を壊し、組織の「風通し」を良くしたい。

この目的によって、誰を、どのくらいの期間で、どの部署へ異動させるべきか、という制度の具体的な設計が全く変わってくるのです。

ジョブローテーションの「メリット」と「デメリット」

次に、この“劇薬”が持つ、「効能」と「副作用」を正しく理解しましょう。

【メリット(効能)】

  • 多角的な視点を持つ人材が育つ: 様々な部署の仕事を経験することで、会社全体を俯瞰して見られる、視野の広い人材が育ちます。
  • 部門間の連携がスムーズになる: 「あの部署のあの仕事は大変だ」という相互理解が深まり、部門間の円滑なコミュニケーションを促します。
  • 業務の“ブラックボックス化”を防ぐ: 一人の社員しかその業務を知らない、という「属人化」のリスクを低減できます。

【デメリット(副作用)】

  • 専門性が育ちにくい: 一つの業務にじっくりと取り組む時間が短くなるため、「広く、浅く」の器用貧乏な人材ばかりになり、プロフェッショナルが育ちにくくなる可能性があります。
  • 一時的な生産性の低下: 異動したばかりの社員と、その教育係となる先輩社員、双方の生産性は、一時的に必ず低下します。
  • 社員のモチベーション低下のリスク: 本人のキャリア希望と全く関係のない不本意な異動は、「会社に駒として扱われている」という不信感を生み、エンゲージメントを著しく低下させます。

成功させるための「導入のポイント」― FSP流“3つの問い”

では、副作用を最小限に抑え、効能を最大化するためには、どうすれば良いのでしょうか。導入を決める前に、経営者は自社に以下の3つの問いを投げかけてください。

問い①:それは「戦略」か、それともただの「思いつき」か?
ジョブローテーションは、場当たり的な「思いつき」で行ってはいけません。会社の長期的な「人材育成計画」の一部として、戦略的に位置づけられているか。その目的とゴールが明確になっているか。

問い②:「受け入れ準備(形式知化)」は、できているか?
異動させるその部署の業務は、きちんとマニュアル化され、誰でも学べる「形式知」になっていますか?「先輩の背中を見て覚えろ」という「暗黙知」だらけの職場に新人を放り込むのは、あまりにも無責任です。OJTの体系的な仕組みは整っていますか。

問い③:「本人との対話」は、十分か?
これが最も重要です。ジョブローテーションは、決して辞令一枚で通達するものではありません。1on1ミーティングなどの場で、本人の未来のキャリアプランを丁寧にヒアリングし、「今回の異動は、君のその目標達成のために必ずプラスになる」ということを、本人が心から納得できるまで対話すること。

まとめ

ジョブローテーションは、魔法の杖ではありません。それは、組織の未来の健康のために投与する、効果も副作用も強い「劇薬」です。
その薬を処方する前に、明確な「目的」を持ち、周到な「準備」をし、そして、本人との丁寧な「対話」を尽くすこと
その、医師のような慎重さと愛情があって初めて、ジョブローテーションは、あなたの会社を、より強く、よりしなやかな組織へと導いてくれるのです。

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