「うちの部下は、なぜか悪い報告をギリギリまでしてこない…」「部下が何を考えているのかさっぱり分からない…」
上司や経営者であれば、一度は、こんな部下の「報連相(報告・連絡・相談)」に対して、不満や、もどかしさを感じたことがあるのではないでしょうか。
そして、その原因を、「最近の若いやつは…」と、部下の“スキル不足”や“意識の低さ”のせいにして、諦めてしまってはいないでしょうか。 しかし、もし、その「報連相がない」という問題の本当の原因が、部下ではなく、それを受け取る側である、あなた自身にあるとしたら…?この記事では、その、少し耳の痛い、しかし本質的な原因と、解決策について解説します。
「報連相」とは、部下の“義務”ではなく、上司と部下の“共同作業”である
まず、報連相に対する古い“常識”をアップデートしましょう。報連相は、部下が上司に対して果たすべき、一方的な「義務」ではありません。それは、チームが同じ目標に向かって進むために、上司と部下が互いの状況を共有し合う、双方向の「共同作業」です。
そして、その共同作業がうまくいくかどうかは、上司が、いかに部下にとって「報連相しやすい環境を作っているか」にかかっているのです。
「報連相」がうまくいかない“3つの根本原因”
では、部下が、「報連相しにくい」と感じてしまう、その環境とは、どのようなものでしょうか。
原因①:部下が、心理的な“恐怖”を感じている
これが、最も根深く、そして深刻な原因です。
- 悪い報告(トラブル、ミス)をしたら →「なぜ、そんなことをしたんだ!」と、“叱責”される。
- 分からないことを相談したら →「そんなことも分からないのか」と、“無能”のレッテルを貼られる。
こうした心理的安全性の低い職場では、部下は、自らの身を守るために、上司にとって耳の痛い情報を、ギリギリまで隠すようになります。
原因②:上司と部下で、「重要」の“ものさし”がズレている
部下は、「こんな些細なことまでいちいち報告したら、上司の時間を奪ってしまう」と考えています。一方で、上司は、「なぜあんな重要なことをすぐに報告しなかったんだ!」と考えている。この“ものさし”のズレは、チームとしての「目的地(=ビジョン)」が共有されていないために起こります。部下は、何が目的地にたどり着くために重要な情報なのか、判断できないのです。
原因③:コミュニケーションの“ルール”と“時間”が決まっていない
「今、話しかけても良いのだろうか…」「メールが良いか、チャットが良いか、電話が良いか…」。報連相の具体的な「やり方」がルール化されていないと、部下はその都度迷い、コミュニケーションのハードルが上がってしまいます。
“風通しの良い”報連相を生み出すための解決策
これらの原因を取り除くための具体的な解決策は、全て、上司である、あなたの行動の中にあります。
解決策①:上司が、自ら「弱さ」を見せ、安心感を創る
悪い報告を受けても、決して感情的に叱責しない。「そうか、大変だったな。教えてくれて、ありがとう。さて、どうすればこの問題を解決できるか、一緒に考えよう」と、問題解決の“パートナー”としての姿勢を示すこと。そして、上司自身も、自らの失敗談や弱みを積極的に開示すること。
解決策②:会社の「北極星(ビジョン)」を共有する
「私たちが今目指しているのはこの星だ。だから、この星に近づくための情報は、良い情報も悪い情報も、全て歓迎する」。この共通の「目的地」を常に共有し続けることで、部下は、報告すべき情報の優先順位を自律的に判断できるようになります。
解決策③:「1on1ミーティング」を、公式な“報連相の場”として設定する
「何かあったら、いつでも言えよ」という曖昧な言葉では、部下は決して相談には来ません。週に一度、あるいは月に一度、「この時間は君のためだけの、公式な相談の時間だ」と、1on1ミーティングを設定しましょう。この、約束された「場」と「時間」が、部下の心理的なハードルを大きく下げるのです。
まとめ
もし、あなたが、部下からの「報連相」がない、と嘆いているのなら。まず、責めるべきは、部下のスキルではありません。問うべきは、「自分は、部下が安心して報連相できる環境を作れているだろうか?」という、自らのリーダーシップです。
上司と部下の、信頼という名の「絆(=紡ぎ方の糸)」を育むこと。それこそが、報連相という、組織の血流を良くするための、唯一にして、最高の処方箋なのです。
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