
原材料費の高騰、止まらない円安、そして、上昇し続ける光熱費…。多くの中小企業経営者様が、日々、コスト増加のプレッシャーに晒されています。こうした状況で、まず経営者としてメスを入れるべきなのが、売上の増減に関わらず、毎月一定額が出ていく「固定費」です。
しかし、固定費削減は、やり方を間違えれば、会社の成長に必要な“筋肉”まで削ぎ落としてしまう、危険な“諸刃の剣”にもなり得ます。
この記事では、今すぐ取り組める具体的な固定費削減のアイディアリストと、コスト削減を、単なる“守り”で終わらせないための、賢い視点について解説します。
1. まずは聖域なく洗い出す。あなたの会社の「固定費」リスト
固定費とは、売上に関わらず、毎月(あるいは毎年)決まって発生する費用のことです。まずは、自社の会計帳簿を見て、どのような固定費が存在するのか、聖域を設けずに全て洗い出してみましょう。
- 地代家賃:事務所、店舗、工場の家賃
- リース料:コピー機、社用車などのリース費用
- 保険料:火災保険、自動車保険、損害賠償保険など
- 通信費:電話、インターネット、携帯電話料金など
- 水道光熱費:電気、ガス、水道料金
- 各種サブスクリプション:会計ソフト、デザインツール、業界新聞などの月額・年額費用
2. 中小企業が今すぐ取り組める「固定費削減」アイデア
リストアップした項目について、以下の視点で見直しを検討してみましょう。
- 家賃:コロナ禍を経て、リモートワークは定着しましたか? オフィスの面積は、本当に今のままで必要でしょうか。より賃料の安い物件への移転や、家主との賃料交渉も、検討の価値はあります。
- 保険料:契約内容を、毎年見直していますか? 事業内容の変化によって、不要な補償がついたままになっているかもしれません。一度、保険代理店の担当者と、契約内容を精査してみましょう。
- 通信費・光熱費:電力・ガスの自由化により、供給会社は選べる時代です。携帯電話の契約プランも、より安いものが出ていないか。比較サイトなどを活用して、切り替えを検討しましょう。
- サブスクリプション:「とりあえず契約したけど、ほとんど使っていない…」。そんなツールやサービスはありませんか? 全てのサブスクリプションを棚卸しし、費用対効果の低いものは、勇気を持って解約しましょう。
3.【最重要】なぜ、「コスト削減」だけでは、会社は成長できないのか?
ここまで、具体的な削減アイディアをご紹介しました。しかし、私たちFSPは、コスト削減“だけ”に終始する経営は、会社をジリ貧に追い込む、極めて危険な道だと考えています。
なぜなら、コスト削減は、あくまで「守り」の経営だからです。ボクサーが、試合に勝つために、ただひたすら減量するようなものです。脂肪を落とすことは重要ですが、削れるものには限界があり、やがては、戦うための筋肉まで失ってしまいます。
物価高という外部からのパンチに対し、ただガードを固めて耐える(=コスト削減)だけでは、いずれ会社の体力は尽きてしまいます。
4. FSPが提唱する、本当の「生産性向上」とは
私たちが提唱するのは、「守り」ではなく、「攻め」の発想による、本質的な生産性向上です。
- 古い発想:「同じ仕事を、いかに安くやるか?」
- FSPの新しい発想:「どうすれば、私たちの仕事の“価値”を高め、もっと“高く”買ってもらえるようになるか?」
この発想の転換こそが、価格競争から脱却し、高い利益率を実現するための、唯一の道です。自社のブランド価値(=稼ぐ力)を高め、売上と利益の“総量”を増やすこと。それによって、相対的に固定費の割合を下げていく。これこそが、会社の体力を奪わない、賢明な経営戦略なのです。
まとめ
固定費の見直しは、会社の無駄をなくし、財務体質を強化するために、全ての経営者が取り組むべき、重要な経営活動です。
しかし、それは、あくまで応急処置の「止血帯」でしかありません。 本当の治療は、会社の「稼ぐ力」そのものを高め、外部環境の変化に負けない、強靭な“筋肉”を付けることです。
守りのコスト削減と、攻めの価値創造。この両輪をバランス良く回して初めて、あなたの会社は、持続的な成長軌道に乗ることができるのです。


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