Skip to content

【人材育成】“見て覚えろ”は、もう古い。OJTを成功させる、先輩社員のための「教え方の教科書」

「あの新人、何度言っても覚えないんだよな…」「忙しいのに、新人の面倒まで見ていられないよ…」
OJT(オンザジョブトレーニング)の現場で、こんな先輩社員の“心の声”が聞こえてきそうです。その一方で、新人社員もこう感じています。「先輩の背中を見て覚えろと言われても、何がポイントなのか分からない…」「質問したいけど、忙しそうで話しかけづらい…」
この、教える側と教えられる側の悲しい“すれ違い”こそ、OJTが失敗し、新入社員の早期離職を招く最大の原因です。多くの経営者が、この手の「現場の課題」を「社員個人の資質」の問題だと片付けてしまいがちですが、これこそ、経営者が一人で抱え込みがちな『戦略的孤独』の一つの現れではないでしょうか。
この記事では、「良いプレイヤーが必ずしも良い指導者ではない」という事実を前提に、新人・若手の才能を確実に開花させるための、具体的な「教え方の教科書」を解説します。

OJTは、会社の“未来”を創る、最も重要な「戦略的投資」である

まず、OJTを「通常業務の合間に、片手間でやる雑用」と考えるのはやめましょう。OJTは、新入社員という未来の“金の卵”を確実に戦力へと育てるための、最も費用対効果の高い「戦略的投資」です。
質の高いOJTは、

  • 新人の早期戦力化を実現し、チームの生産性を高めます。
  • 新人の会社への安心感と信頼感を育み、早期離職を防ぎます。
  • 会社の理念や文化といった、目に見えない価値を次の世代へと継承します。

単なる教育ではなく、会社の未来を築くための「経営戦略」としてOJTを捉え直すことが、最初の第一歩です。

「良いプレイヤー」が、「良い指導者」とは限らない

次に陥りがちなのが、「仕事ができるエース社員にOJTを丸投げする」という間違いです。エース社員は、多くの場合、無意識のうちに仕事をこなしてしまうため、「なぜ新人ができないのか」を理解できません。彼らが当たり前のように実践している「暗黙知」(言葉にできない、コツや勘)を、新人に分かる言葉で伝えることができないのです。
「教える」とは、「できる」こととは全く別の、専門的な「技術」なのです。この技術を身につけることで、エース社員は後輩を育成する「指導者」として、新たなリーダーシップを発揮できるようになります。

新人の“才能”を開花させる、「教え方の4ステップ」

では、その「教える技術」とは具体的にどのようなものでしょうか。米軍の兵士訓練から生まれた、科学的な指導法「4段階職業指導法」をご紹介します。

STEP 1:やってみせる(Show)―「まず、完璧な見本を静かに見せる」
まず、先輩社員が、これから教える作業の全工程を、一言も説明せずに、普段通りのスピードで、完璧にやってみせます。
目的: 新人にまず、ゴールの「全体像」をイメージさせ、「自分もこうなれるんだ」という憧れを抱かせます。

STEP 2:説明する(Explain)「なぜそうするのか」を語る
次に、もう一度、今度はゆっくりと作業をしながら、一つ一つの工程の「意味」や「理由」を、具体的に言葉で説明します。
目的:「なぜこの手順なのか」「なぜこの確認が重要なのか」という背景にある「想い」を伝えることで、新人は単なる“作業”ではなく、“仕事”としてその業務を深く理解します。

STEP 3:やらせてみる(Do)―「安心して失敗させる」
いよいよ、新人に実際にやらせてみます。ここでの先輩の最も重要な役割は、「手を出さずに、我慢して最後まで見守ること」です。
目的: 人は、自分でやってみて、そして失敗することで、最も多くを学びます。ここで先輩が手を出してしまえば、新人の貴重な「学習機会」を奪うことになります。「失敗しても大丈夫だ」という心理的な安全性を築いてあげることが重要です。

STEP 4:フィードバックする(Review)― “人格”ではなく“行動”を共に振り返る
最後に、新人がやり終えた後で、フィードバックを行います。
目的: 良かった点と改善点を具体的に伝え、次につなげるためです。その際、絶対にやってはいけないのが人格否定です。「君は不注意だな」ではなく、「ここのネジの締め方が少し緩かったね。次は、この点だけ意識してみよう」と、具体的な「行動」に対してのみ、フィードバックを行います。

まとめ

やってみせ、説明し、やらせてみて、フィードバックする。
OJTとは、この4つのステップを一つ一つ、丁寧に繰り返していく、先輩と後輩の共同作業です。それは、会社の未来を創る後輩への愛情と期待のコミュニケーションそのものです。
この「教え方の教科書」をあなたの会社に導入することで、OJTはもはや先輩社員の「負担」ではなく、後輩の成長を共に喜び、そして教えることを通じて先輩自身も成長できる、最高の「機会」へと変わっていくはずです

自社の本当の課題を専門家と共に整理し、未来への確かな一歩を踏み出したいとお考えではありませんか? 私たちFLAG-SHIFT-PROJECTは、ブランディングによる「稼ぐ力」の構築と、補助金を活用した「賢い資金調達」を両輪で支援し、貴社の持続的な成長を実現する唯一のパートナーです 。

まずは「無料個別戦略診断」で、
現状と可能性を客観的に見つめ直すことから始めてみましょう 。