無料で利用でき、地域での圧倒的な知名度を持つハローワーク。
それは、多くの中小企業にとって、最も身近で、重要な採用の窓口です。しかし、その一方で、「ハローワークに求人を出しても、全く応募が来ない…」と、頭を抱えている経営者様も、また非常に多いのが現実です。
その原因は、ハローワークの求人票が、決められたフォーマットの、文字情報中心であるため、多くの求人が“同じような見た目”になってしまい、その他大勢の中に埋もれてしまっているからです。
しかし、この限られたフォーマットの中でも、ほんの“ちょっとした書き方の工夫”で、求職者の心に響き、応募数を劇的に変えることが可能です。この記事では、その具体的なテクニックを解説します。
なぜ、あなたのハローワーク求人は“スルー”されてしまうのか？
まず、求職者が、あなたの会社の求人票を、なぜ読み飛ばしてしまうのか、その理由を考えてみましょう。それは、求人票が、単なる「条件」と「作業」のリストになっているからです。
- 仕事の内容：データ入力、電話対応、書類整理
- 必要な経験：PCスキル（Word, Excel）
- 会社の特長：アットホームな職場です
これでは、あなたの会社の「らしさ」や「働く魅力」は、何も伝わりません。
給与や休日といった条件面でしか、他社と比較する材料がなく、より条件の良い会社が見つかれば、その瞬間に忘れ去られてしまいます。
「作業のリスト」から「魅力の物語」へ。応募数を変える３つの書き換え術
求人票を、「応募書類」から「ラブレター」へと変えるための、具体的な３つの書き換え術をご紹介します。
テクニック①：「仕事の内容」欄で、“やりがい”を語る
この欄は、単なる作業内容（WHAT）を書く場所ではありません。その仕事が持つ「意味」や「目的」（WHY）を語る、絶好のチャンスです。
- ＜Before＞ NC旋盤の操作 ・製品の検品、梱包作業
- ＜After＞【日本のものづくりを支える、精密部品を創り出す仕事です】 NC旋盤という専門機械を使い、医療機器や半導体装置に組み込まれる、ミクロン単位の精密部品を加工します。あなたの技術が、多くの人の命や、社会の最先端技術を支える、誇りの持てる仕事です。
テクニック②：「会社の特長」欄で、“未来”を語る
「アットホーム」という言葉は、残念ながら、どの会社も使っており、もはや誰の心にも響きません。この欄では、あなたの会社が目指す「未来のビジョン」を語りましょう。
- ＜Before＞ アットホームな職場です。
- ＜After＞ 私たちは「XXで、地域を元気にする」という理念を掲げ、5年後にはXX分野で地域No.1になるというビジョンを持っています。社長との距離も近く、あなたの「やってみたい」という意欲を応援する社風です。
テクニック③：「求人PR情報」欄で、“仲間”の声を語る
「未経験者歓迎」という言葉も、それを裏付ける“安心感”がなければ、求職者は不安です。
この自由記述欄では、実際に働く先輩社員の「生の声」を届けましょう。
- ＜Before＞ 未経験者、歓迎。先輩が丁寧に指導します。
- ＜After＞【先輩社員（入社3年目・28歳）より】 「私も全くの未経験で入社しましたが、教育担当のXXさんが、3ヶ月間マンツーマンで、機械の操作から図面の見方まで、根気強く教えてくれたので、安心して技術を習得できました。失敗を恐れずに挑戦させてくれる環境なので、日々成長を実感しています！」
「書き方」の前に、まず「語ること」を決めよう
いかがでしょうか。これらの書き換え術は、小手先のテクニックではありません。その根底には、
- 我が社は、何のために存在するのか（想いの糸）
- どんな仲間と、どんな文化を築きたいのか（行動の糸・紡ぎ方の糸）
- その魅力を、どう届けるか（届け方の糸）
といった、FSPが提唱する「５つの糸」の考え方があります。
まず、自社の「語るべき物語」を明確にすること。それがあって初めて、求人票の言葉は、命を宿すのです。
まとめ
ハローワークの求人票は、書き方一つで、単なる「募集要項」から、未来の仲間を惹きつける「最強のPRツール」へと生まれ変わります。
その鍵は、給与や休日といった「条件」の競争から降り、あなたの会社の「理念」や「文化」「働く人の顔」といった、そこでしか得られない“価値”を、あなた自身の言葉で語ること。
その他大勢から抜け出し、「この会社で、働いてみたい」と心から思わせる、魅力的な求人票作りを、今日から始めてみませんか。
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現状と可能性を客観的に見つめ直すことから始めてみましょう 。
