通勤時間がなくなり、働き方の自由度は増した。しかし、その一方で、オフィスにいた頃には当たり前にあった、“何か”が静かに失われていくのを感じてはいないでしょうか。
- 隣の席の同僚との何気ない雑談。
- 困っている後輩の、少し辛そうな表情。
- チーム全体が同じ目標に向かっているという熱気。
リモートワークは、正しく設計しなければ、社員を孤独な「個人事業主の集まり」へと変えてしまいます。この記事では、物理的な距離を乗り越え、組織の「一体感」をむしろこれまで以上に強固にするための、3つの意図的な「仕掛け」について解説します。
リモートワークが静かに奪っていくもの ― “雑談”という名の最強の潤滑油
リモートワークで最初に失われるもの。それは、業務報告や定例会議といった「公式なコミュニケーション」ではありません。
本当に失われて危険なのは、コーヒーを淹れる間の立ち話や、ランチタイムの他愛もない会話といった、一見すると“無駄”に見える「非公式なコミュニケーション(雑談)」なのです。
この「雑談」こそが、
- 互いの人となりを理解し、信頼関係を築き、
- 仕事のちょっとした相談や情報共有を円滑にし、
という組織にとって最強の「潤滑油」としての役割を果たしていたのです。
“意図的”にコミュニケーションを「再設計」する3つの仕掛け
オフィスにいれば偶然生まれていたこの「潤滑油」を、リモートワークでは“意図的”に創り出す必要があります。
①「業務」のコミュニケーション ― “暗黙の了解”を徹底的に排除する
顔が見えないリモートワークでは、「言わなくても分かるだろう」という“暗黙の了解”は一切通用しません。業務に関するコミュニケーションは、これまで以上に「オープン」で「記録に残る」ことを徹底しましょう。
- ビジネスチャットの活用:全ての業務連絡は、部署やプロジェクトごとの「チャンネル」で行い、誰が、いつ、どんなやり取りをしているのか、オープンにする。
- 議事録の徹底共有:全ての会議の決定事項とToDoリストは、必ず議事録としてクラウド上に保管し、いつでも誰もが閲覧できるようにする。
②「雑談」のコミュニケーション ― “無駄”な時間を意図的に創り出す
失われた「潤滑油」を意図的に補充します。
- バーチャル・コーヒーブレイク:毎日、あるいは、週に数回、時間を決め、「仕事の話、禁止!」15分間のオンライン雑談タイムを設ける。参加は自由。
- 「#zatsudan」チャンネルの開設:ビジネスチャットに、趣味の話やペットの写真、面白かったニュースなどを自由に投稿できる、雑談専用のチャンネルを、作る。
この、一見“無駄”な時間が、組織の人間関係という最も重要なインフラを整備するのです。
③「個人」のコミュニケーション ― “心”の繋がりを見失わない
リモートワークでは、社員一人ひとりの“心のコンディション”が見えにくくなります。その見えない繋がりを維持するために、「1on1ミーティング」の重要性がこれまで以上に高まります。
上司は、業務の進捗確認だけでなく、「最近困っていることはないか?」「孤独を感じていないか?」といった、部下個人の心に寄り添う「対話」の時間を定期的に確保することが求められます。
まとめ
オフィスワークにおけるコミュニケーションが“自然栽培”だとしたら。 リモートワークにおけるコミュニケーションは“計画栽培”です。
業務、雑談、そして個人。この3つの側面から、コミュニケーションを意図的にデザインし、実行していく。
その丁寧な「仕組み」づくりこそが、物理的な距離を乗り越え、社員一人ひとりの心と心を繋ぎ、組織の「一体感(=紡ぎ方の糸)」を守り、そして育てていくのです。
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