新しいプロジェクトが始まった。リーダーであるあなたは、メンバーに、こう檄を飛ばす。
「さあ、みんなで力を合わせて頑張ろう!(=全員野球)」
あるいは、「この件は、一番得意なA君に全部任せる!(=ワンマンプレー)」
どちらも、中小企業の現場でよく見られる光景です。しかし、この一見合理的、あるいはチームワークを重んじているように見える「役割分担」こそが、実は、チームの生産性を著しく低下させている“罠”かもしれないのです。 この記事では、その罠の正体と、メンバー一人ひとりの力を最大限に引き出し、1+1を3にも5にもする、戦略的な「役割分担」の決め方を解説します。
なぜ、あなたのチームは“バラバラ”なのか?役割分担、2つの失敗パターン
失敗①:「全員野球」という名の、無責任体制
「全員で頑張る」という言葉は、美しい響きを持っています。しかし、その裏側では、「誰が何に責任を持つのか」が極めて曖昧になっています。その結果、「誰かがやってくれるだろう」という依存心が生まれ、ボールがポテンヒットのように誰の守備範囲でもない場所に落ちてしまう。つまり、「全員責任は、無責任」という最悪の状態に陥ってしまうのです。
失敗②:「スーパーマン」への、丸投げ体制
「この仕事はA君が一番得意だから」と、特定のエース社員に全ての仕事が集中する。これは、短期的には成果が出るかもしれません。しかし、そのA君がいなければ、チームは機能停止します。そして、他のメンバーはいつまで経っても成長の機会を与えられず、チーム全体の“総合力”はむしろ低下していくのです。
チームの“総合力”を、最大化する。役割分担を決める「3つの原則」
では、どうすれば、チームの力を最大化できるのでしょうか。
原則①:まず「チームの“目的地”」を明確にする
役割分担のその前に。リーダーは、「このプロジェクトは、何を達成すれば成功なのか」という明確な「ゴール(=ビジョン)」をチーム全員で共有しなければなりません。目的地が明確になっていて初めて、メンバーは、「その目的地にたどり着くために、自分はどんな役割を果たせば良いのか」を主体的に考えることができるようになるのです。
原則②:メンバーの「得意なこと」で、役割を決める
役割分担は、メンバーの「苦手なこと」を克服させるための“修行”ではありません。チームの成果を最大化するためには、それぞれのメンバーが最も力を発揮できる「得意なこと(=強み)」で役割を分担するのが鉄則です。
- アイデアを出すのが得意な人には、企画を。
- 緻密な作業が得意な人には、進行管理を。
- 人と話すのが得意な人には、外部との交渉を。
適材適所の配置が、チームの総合力を飛躍させます。
原則③:「説明責任者」と「実行担当者」を、明確に区別する
Google社の調査でも、生産性の高いチームの条件として、「構造と明確さ」が挙げられています。特に、以下の2つの役割を明確に区別し、任命することが重要です。
- 説明責任者(Accountable): そのプロジェクトの最終的な成果に対して、“たった一人で”責任を負う人。
- 実行担当者(Responsible): そのプロジェクトの個別のタスクを実際に実行する人。(複数人可)
この、「最後の責任のありか」が明確になることで、チームの意思決定は驚くほどスムーズになり、当事者意識が生まれるのです。
まとめ
最強のチームとは、スーパーマンの一人舞台ではありません。それは、明確な「目的地」を共有し、それぞれが自らの「得意技」を持ち寄り、そして自らの「責任範囲」を深く自覚している、プロフェッショナルな個人の集合体です。
私たちFSPの支援プロセスでは、会社の理念(想いの糸)を明確にすることで、まず、組織全体の「目的地」を設定します。そして、その目的地に向かう中で、従業員一人ひとりの役割と責任が明確になり、主体的な行動が促進されるのです。
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