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補助金が招く「賃上げの悪夢」。利益なき給与アップが会社を破壊する4つのステップ

補助金の申請書に「従業員の給与を平均X%引き上げます」と書くとき、多くの経営者様は、従業員の喜ぶ顔や、会社の成長を思い描いているはずです。補助金で事業を成長させ、その利益で賃金を上げる。それは本来、経営者として理想とする姿でしょう。
しかし、もし、その大前提である「利益」が計画通りに出なかったとしたら…?
その瞬間、従業員のためを思ったはずの「賃上げ」は、会社を内側から破壊する悪夢のシナリオへと反転します。この記事では、その「悪夢」が具体的にどのようなプロセスで進行するのか、4つのステップに分けて克明にシミュレーションします。

悪夢のステップ1:【期待】売上増を前提とした「賃上げの約束」

すべては、希望に満ちた計画から始まります。
事業計画書には、「新規設備投資により生産性が向上し、売上がXX%増加。その結果、営業利益はYYY万円増加するため、従業員の賃金を平均Z%引き上げることは十分に可能である」と記されています。この時点では、賃上げは「成長の果実の分配」として、ポジティブに位置づけられています。
多くの主要な補助金では、賃上げが申請の必須要件であったり、補助率を引き上げるための条件となっているため、この約束は避けては通れません。経営者は、国の後押しを得て、従業員にも報いることができると信じています。

悪夢のステップ2:【誤算】利益なきコスト増地獄(ダブルパンチ)

しかし、現実が計画通りに進むとは限りません。補助金採択企業の倒産原因の実に7割以上が「販売不振」であるという事実が、その厳しさを物語っています。
ここで最初の悪夢が現実となります。計画していた売上が立たない。しかし、約束したコストは容赦なく発生します。企業は、利益という裏付けがないまま、**二重のコスト増(ダブルパンチ)**に苦しむことになります。
1. 固定費の増加:補助金で購入した最新設備の減価償却費が、毎月重くのしかかります。
2. 人件費の増加:そして、**義務化された「賃上げ」**です。これは一度上げると、業績が悪化しても簡単には下げられません。
売上という「入り口」は計画未達なのに、減価償却費と人件費という「出口」だけは計画通りに増大する。このアンバランスが、企業のキャッシュフローを急速に、そして静かに蝕んでいきます。

悪夢のステップ3:【焦燥】成長投資の停止と、社内の疑心暗鬼

キャッシュフローが悪化し始めると、経営者は当然、コスト削減に走ります。しかし、すでに人件費と固定費はロックされています。では、どこを削るか?
多くの場合、それは**「未来への投資」**です。

  • マーケティング・広告宣伝費の削減:新規顧客を獲得するための活動を停止せざるを得なくなります。
  • 研究開発費・研修費の削減:新商品開発や人材育成を諦めます。
  • 採用活動の凍結:人手不足でも、新しい人材を採る余裕がなくなります。

これは、悪夢の負のスパイラルです。売上を上げるための活動を削るのですから、ますます売上は上がらなくなります。
さらに深刻なのは、社内に広がる**「疑心暗鬼」**です。賃上げで一時的に喜んだ従業員も、会社の苦しい内情を肌で感じ始めます。「社長の計画は失敗だったんじゃないか」「この会社は本当に大丈夫なのか?」。給与は上がっても、会社の将来への不安から、優秀な人材ほど静かに会社を去っていく、という最悪の事態も起こり得ます。

悪夢のステップ4:【詰み】事業継続も、事業撤退もできない「チェックメイト」

最終的に、企業は「詰み」の状態に追い込まれます。

  • 事業を継続すれば:利益なきコスト増が続き、赤字が膨らみ、いずれ資金がショートします。
  • 事業から撤退すれば:最悪の場合、受け取った補助金の一部を現金で返還する義務が生じます。

これが、賃上げの悪夢の最終章です。前に進んでも地獄、後ろに引いても地獄。経営者は、自らが描いた成長戦略によって、身動きが取れない状態に追い込まれてしまうのです。良かれと思った賃上げの約束が、結果として会社と従業員の未来を奪うナイフになってしまった瞬間です。

まとめ

補助金で義務化される「賃上げ」は、それ自体が悪いわけではありません。しかし、その原資となるべき**「利益を生み出す確固たる戦略」**がなければ、それは悪夢の引き金と化します。
1. 売上増を安易に「期待」し、
2. 利益なきコスト増に「誤算」し、
3. 未来への投資を止め、社内の「焦燥」を招き、
4. 進むも退くもできない「詰み」の状態に陥る。
このシナリオは、戦略なき投資がいかに危険かを、明確に示しています。

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