
「うちは、技術には自信がある。どこにも負けない、良いものを作っている」 「だから、いつか、誰かが見つけてくれるはずだ」
そのように、自社の製品やサービスの「品質」に、絶対的な自信と誇りを持っている。それは、経営者として、そして、ものづくりのプロとして、非常に素晴らしいことです。
しかし、もし、その自信とは裏腹に、売上が伸び悩んでいるのだとしたら。それは、あなたの会社が、ビジネスにおける、もう一つの極めて重要な半分、つまり、その素晴らしい価値を、お客様に「伝える」努力を、怠ってしまっているからかもしれません。
この記事では、なぜ「良いものを作れば売れる」という考え方が、現代においては“幻想”でしかないのか、その理由を解説します。
「良いものが売れた時代」の終わり
かつて、モノが不足し、情報も限られていた時代には、「良いものを作れば売れる」というのは、紛れもない真実でした。品質の高さそのものが、圧倒的な差別化要因だったからです。
しかし、現代はどうでしょうか。世の中には、高品質なモノやサービスが溢れ、インターネットやSNSを通じて、誰もが、あらゆる情報に、瞬時にアクセスできます。
このような「モノと情報の飽和時代」においては、「品質が良い」ことは、もはや“当たり前”。
それは、競争のスタートラインに立つための、最低条件でしかありません。
その他大勢の「良いもの」の中に埋もれず、お客様から選ばれるためには、品質以外の、別の何かが必要なのです。
“存在しない”のと同じ― FSPが「伝える」努力を重視する理由
私たちFSPが、クライアントの皆様に、口を酸っぱくしてお伝えしている、一つの残酷な事実があります。
それは、
『貴社が持つ素晴らしい「想い」や「価値」も、それを本当に必要としている人に、響く形で『届け』なければ、残念ながら存在しないのと同じです』
ということです。
あなたの会社が、どれだけ画期的な技術を持っていようと、どれだけお客様を想う、熱い情熱を持っていようと、その価値が、お客様の“心”に届いていなければ、その価値は、この世に存在しないのと同じなのです。
補助金を活用して素晴らしい設備を導入した企業の、倒産原因の実に7割以上が「販売不振」であるというデータは、この事実を何よりも雄弁に物語っています。モノを作るだけでは、売れないのです。
あなたの価値を「伝える」ための、3つのステップ
では、あなたの会社の価値を、正しく、そして魅力的に「伝える」ためには、何をすべきなのでしょうか。FSPの「5つの糸」のフレームワークに沿って、そのステップを解説します。
STEP 1:まず「価値の“中身”」を、言葉にする(想いの糸)
「伝える」前に、まず「何を」伝えるかを、明確に定義する必要があります。あなたの会社の、他社にはない独自の価値、こだわり、そして、事業にかける「想い」や「理念」は、何ですか?
この、伝えるべきメッセージの“核”を、あなた自身の言葉で磨き上げることが、全ての始まりです。
STEP 2:「価値の“見た目”」を、磨き上げる(顔立ちの糸)
人は、中身だけでなく、「見た目」でものを判断します。素晴らしい価値も、古びたウェブサイトや、素人感のあるパンフレットといった、安っぽい「見た目」の器に入れられていては、その価値が正しく伝わりません。価値にふさわしい「顔立ち」に整え、一瞬で「この会社は、信頼できそうだ」と感じさせる、無言のコミュニケーションを図りましょう。
STEP 3:「価値の“届け方”」を、設計する(届け方の糸)
最後に、その価値を、「誰に」「どこで」「どんな言葉で」届けるのか、その「届け方」を、戦略的に設計します。ターゲット顧客の心に、最も響くメッセージは何か。彼らは、どんな媒体から情報を得ているのか。その道筋を、緻密に設計することで、あなたの価値は、初めて、それを本当に必要としているお客様の元へと、届くのです。
まとめ
「良いものを作る」という、プロダクトアウトの思想は、もはや過去のものです。現代のビジネスは、「良いものを作る」ことと、「その価値を、正しく伝える」こと、その両方ができて、初めて成立します。
あなたの会社には、素晴らしい価値が、すでに眠っているはずです。 あとは、その価値に光を当て、磨き上げ、世界に向けて「伝える」努力を始めるだけ。
その地道で、しかし創造的な取り組みこそが、あなたの会社を、その他大勢の中から選ばれる、唯一無二の存在へと変えていくのです。


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