新入社員が、素朴な疑問を口にしました。 「この報告書って、一体、何のために作っているんですか?」
その場の誰もが、答えに詰まる。そして、ベテラン社員が、こうつぶやきました。 「さあ…。昔から、こうだからなあ…」
あなたの会社にも、こんな思考停止した“会社の常識”が蔓延してはいませんか。 かつては合理的だったはずのその「常識」が、今、時代の変化の中で、会社の成長を妨げる重たい「固定観念」へと変わってしまっているかもしれません。
この記事では、あなたの組織に深く根を張る、その「固定観念」を見つけ出し、打ち破るための、具体的な方法を解説します。
「会社の常識」は、いかにして“成長のブレーキ”となるか
創業当時には、最高の「ベストプラクティス」だったものが、いつしか、誰もその目的を問うことのない、思考停止した「ルーティンワーク」へと変わっていく。これが、「固定観念」が生まれるメカニズムです。
この固定観念は組織を静かに、しかし確実に蝕んでいきます。
- イノベーションを阻害する:「これまでこのやり方でうまくいってきたのだから」という、過去への固執が、新しい挑戦への心理的なブレーキとなる。
- 優秀な人材を流出させる:「なぜこんな非合理的なルールがあるのだろう?」と感じた問題意識の高い若手社員ほど、その会社の硬直した文化に絶望し、静かに去っていく。
- 会社を、“茹でガエル”にする:外部環境の変化に気づかぬうちに、会社全体が時代遅れの存在(=陳腐化)となってしまう。
組織に潜む「固定観念」を見つけ出す、3つの“質問”
ではどうすれば、自分たちではもはや当たり前になってしまって見えなくなった「固定観念」を、見つけ出すことができるのでしょうか。
- 新入社員や、社外の人にこう質問する:「うちの会社に来て、“不思議”に思ったことは何ですか?」
固定観念の最高の“発見器”は、その会社の常識にまだ染まっていない「よそ者」の、素朴な視点です。 「なぜ、会議の資料をいまだに全て、紙で印刷しているのですか?」 「なぜ、この承認に、ハンコが3つも必要なんですか?」 彼らの「なぜ?」という問いの中にこそ、あなたが見過ごしている改善のヒントが、眠っています。 - あらゆる業務に、こう質問する:「なぜ、私たちは、これをやっているんだっけ?」を5回繰り返す
これは、トヨタ生産方式で有名な「なぜなぜ分析」の応用です。
「なぜ、この週報を書くのか?」→「部長に報告するため」→「なぜ、部長は報告が必要なのか?」
→「役員会議で明するため」→「なぜ、役員会議でその説明が必要なのか?」→「……」。
このように、「なぜ?」を、5回、繰り返すことで、当初は、もっともらしく思えたその仕事の本当の目的が、実はもう失われていることに、気づくことがあります。 - 会議で、あえて、こう質問する:「もし、この“常識”が、間違っているとしたら?」
これは、組織の「心理的安全性」が、試される、高度な質問です。 新しい事業計画などを、議論する際に、あえて、「悪魔の代弁者(Devil’s Advocate)」という、役割を、誰かに、与えるのです。その人の役割は、その計画の前提となっている「常識」や「暗黙の了解」に、徹底的に反論し、疑問を、投げかけること。 この意図的な「揺さぶり」が、組織の思考を硬直化から救うのです。
まとめ
あなたの会社の「常識」。それは、これまであなたの会社を守ってきた、大切な“鎧”かもしれません。 しかし、その鎧はいつまでも同じままでは、いずれ錆びつき、あなたの動きを鈍らせる“重り”へと変わってしまいます。
会社の真の強さとは、「常識」をたくさん持っていることではありません。会社の真の強さとは、その「常識」をいつでも自分たちの手で疑い、壊し、そして新しく創り直せるしなやかさのことです。
私たちFSPのブランディングのプロセスもまさに、このクライアントの「固定観念」を、壊すことから、始まります。 「なぜ、私たちは、存在するのか(想いの糸)」。この、根源的な問い直しこそが、会社を本当の意味で変革させる、第一歩なのです。
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